クリニックの電子カルテにAIを入れてみた話

医師のリアル・働き方
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きっかけは、単純な疲弊だった

外来は、1日に何十人もの患者さんを診る。初診・再診・検査結果の説明・処方変更。そのたびにカルテに所見を入力していく。

医療行為そのものは好きだ。ただ、カルテ入力の時間が積み重なると、正直しんどい。「この作業、もう少し楽にならないか」という気持ちがずっとあった。

ChatGPTが話題になり始めたころ、紹介状の下書きに使い始めた。最初は半信半疑だったけれど、思ったより使えた。それが、AIを医療業務に取り入れるきっかけになった。

作ったもの:カルテサマリー自動生成ツール

勤務先のクリニックではDigikarという電子カルテを使っている。カルテの画面を開いたまま、ボタンひとつでその患者のサマリーが生成される、というツールをClaude(Anthropic社のAI)を使って自作した。

仕組みとしては、ChromeのExtension(拡張機能)としてカルテ画面に埋め込み、表示されているテキスト情報をAIに渡してサマリーを生成する、というものだ。コードはほぼClaudeに書いてもらった。医師がAIでツールを作る、という少し変な話だけど、これが思いのほかうまくいった。

現在はスタッフにも展開していて、クリニック内で実際に使われている。自分で作ったツールが職場に根付いている、というのは、なかなか不思議な感覚だ。

業務はどう変わったか

一番大きいのは、「患者さんの状態を把握する時間」が短くなったことだ。久しぶりに来院した患者さんのカルテを開いたとき、サマリーがあるとそれだけで文脈が素早く掴める。

完全に自動化されたわけではなく、最終的な判断は当然自分でする。ただ、AIが下準備をしてくれることで、医師としての判断に集中できる時間が増えた感覚がある。

「AIに仕事を奪われる」という話をよく聞くけれど、今のところ実感は逆だ。AIが雑務を引き受けてくれることで、自分が本来やるべきことに向き合いやすくなっている。

医師がAIを使うことへの雑感

医療の世界では、新しいツールの導入にどうしても慎重になりがちだ。それは正しい態度だと思う。患者さんに関わることだから。

ただ、「慎重」と「思考停止」は違う。AIをどう使えば安全で、どこに限界があるかを自分で検証しながら使うことは、医師としての仕事の一部だと今は思っている。

これからも試行錯誤しながら、使えるものは使っていくつもりだ。うまくいったことも、失敗したことも、このブログに残していけたらと思っている。


次回は、実際にツールをどう作ったか、もう少し具体的な話を書こうと思っています。コードが書けなくても作れる、という話です。

ぽん

消化器内科医。内視鏡を握る傍ら、時間と自由の設計を考え続けている。

急性期病院を経て、現在は関西のクリニックで内視鏡診療に従事。日本内科学会認定内科医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医。

ロードスターで走り、LUMIXで記録し、サウナで整える。2026年、父になった。FIRE・資産形成・AI活用を探求中。

白衣の内側から見えるリアルを、等身大で書いていく。

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